理事長ごあいさつ
地元で生きる・地元を活かす
―― 新しいふるさと創生のために ――
NPO法人手賀沼トラスト理事長 富沢 崇
手賀沼トラストは、農民画家であった日暮朝納さんによって1999年に設立されました。おしよせる宅地化から手賀沼周辺の里山景観を守るためです。
2008年、日暮代表が急逝されたあと、故遠藤織太郎先生(前理事長・元筑波大教授)のもと、根戸城址を中心とする里山保全活動と、有機生態系農業を伝授する農教室を中心に活動してきました。
しかし、農家の高齢化にともなう遊休農地の増大をうけ、2011年にNPO法人格を取得し、農地を活用する活動にも手を広げました。我孫子市が遊休農地活用のため補助金制度を創設したのも大きな力となりました。
私達はこの制度を利用して、農家から農機をお借りし、ヒマワリや菜の花などの景観作物を栽培し、1ha以上の田圃では稲作を行っています。農家は祖先伝来の農地を荒廃させずにすみ、市民は美しい里山風景を堪能でき、私達は地元のために働くという生き甲斐と現物支給されるお米を手にすることができるようになりました。
2019年には子ども部会が発足しました。これで、元気な子どもたち、若いパパママ、定年退職したジジババ、子育てが一服した中年のお父さんお母さんと、全年齢層の地元民が活動に参加するようになりました。
田畑では仲間と語らいながら農作業にいそしむ大人たち、根戸城址の森では走りまわる子どもたち、余った遊休農地や山林を地元住民がみんなで保全し活用する、いまはやりの「コモンズ」(共有地)という位置づけもできそうです。
さらに、学校の部活動にも似た各種部会も生まれてきました。日本蜜蜂を飼う養蜂部会、さまざまなハーブを育てるハーブ部会、ソバ打ちを学ぶそば部会、健康によい作物を育て長生きを目指す健康長寿部会。自発性を大事にする、これも手賀沼トラストの特徴です。
増大する遊休農地、老朽化した農業機械など、問題は山積していますが、「地元で生きる・地元を活かす」のスローガンのもと、新しいふるさと創生のために頑張っていきます。
皆様のお力をお貸しくださるようお願いいたします。